薄型テレビ市場の拡大を支えてきた液晶パネル業界が供給過剰にあえいでいる。シャープは3日、パネル事業の構造改革を発表した。稼働率が低迷しているテレビ用パネルの2工場のうち、亀山工場(三重県亀山市)は携帯端末用に転換。堺工場(堺市)はテレビ用の中でも超大型にシフトする。赤字企業が相次ぐなか、生き残りをかけた提携戦略も動き出した。
「(パネルの販売量で)勝っても赤字の市場では戦わない」。シャープの片山幹雄社長は3日の記者会見でこう述べ、20~40型パネルの生産を大幅に縮小する方針を示した。このサイズは最終製品であるテレビの値下がりが続くうえにパネル供給量も過剰。競合メーカーと量を競っても利益は出ないと見切った。
強化するのがスマートフォン(高機能携帯電話)など中小型用パネルだ。テレビ用パネルの工場である亀山第2工場(三重県亀山市)の生産能力の約8割を2012年度までに中小型に転換する。12年に稼働する亀山第1工場(同)では米アップルの「iPhone」向けパネルをつくる。
テレビ用の40型パネルを中心につくっていた堺工場は、50型以上の超大型にシフトする。米国や中国などで60型や70型のテレビを積極投入し需要を創出する方針。電子看板などテレビ以外での用途拡大も急ぐ。
大型パネルのコスト競争力向上に向け、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業とも提携交渉を始めた。合弁会社を設立し、ガラス基板などの部材を共同調達することを検討している。鴻海は傘下に大型液晶パネル世界4位の台湾・奇美電子をもつ。調達を一本化できれば規模拡大で価格交渉力が強まる利点がある。
片山社長は、個別の提携案件にはコメントしないとしたうえで「海外(企業)と一緒にコストを下げる考えは否定はしない」と述べた。
ただ、こうした改革が本格的に寄与するのは13年3月期以降になる見込み。同日発表した12年3月期の連結業績予想は純利益が前期比69%減の60億円だ。亀山第2工場の用途転換に伴う生産能力低下などで、合計420億円の特別損失を計上するのが響く。
売上高は前期比1%増の3兆500億円。テレビの販売台数は1500万台と1%増を見込むが、単価が高い国内の構成比が下がるため販売額は減少する。テレビやテレビ用パネルの不振が、太陽電池や中小型液晶の売り上げ拡大を打ち消す格好だ。